JLPT N1 - MOCK1 READING
芸術(げいじゅつ)とは、作品(さくひん)そのものに内在(ないざい)する固定的(こていてき)な価値(かち)を指(さ)すのではなく、作品と鑑賞者(かんしょうしゃ)、そしてそれらが置(お)かれる文脈(ぶんみゃく)との相互作用(そうごさよう)の中(なか)で生成(せいせい)される現象(げんしょう)であると言(い)える。道端(みちばた)の石(いし)ころも、美術館(びじゅつかん)の台座(だいざ)に乗(の)せられれば、途端(とたん)に何(なに)らかのメッセージを帯(お)びた「作品」として認識(にんしき)されうる。この時(とき)、石そのものの物理的(ぶつりてき)な性質(せいしつ)は何(なに)も変(か)わっていない。変(か)わったのは、それが置(お)かれた環境(かんきょう)と、それに意味(いみ)を見(み)いだそうとする鑑賞者(かんしょうしゃ)の眼差(まなざ)しである。つまり、芸術(げいじゅつ)を芸術(げいじゅつ)たらしめているのは、作家(さっか)の意図(いと)や技術(ぎじゅつ)だけではなく、鑑賞者(かんしょうしゃ)が自(みずか)らの知識(ちしき)や経験(けいけん)を総動員(そうどういん)して作品(さくひん)と対峙(たいじ)し、そこに意味(いみ)を読(よ)み取(と)ろうとする能動的(のうどうてき)な行為(こうい)そのものなのだ。このプロセスを経(へ)て初(はじ)めて、単(たん)なる「物(もの)」は「芸術作品(げいじゅつさくひん)」へと昇華(しょうか)するのである。

筆者(ひっしゃ)によると、何(なに)が「物(もの)」を「芸術作品(げいじゅつさくひん)」に変(か)えるのか。

💡 詳細解説

本文では、芸術を芸術たらしめているのは「作品と鑑賞者、そしてそれらが置かれる文脈との相互作用」であり、特に「鑑賞者が…意味を読み取ろうとする能動的な行為そのもの」が重要だと述べている。正解の選択肢は、この「文脈」と「鑑賞者による能動的な意味の読み取り」という二つの重要な要素を的確にまとめている。不正解1は、筆者が「作家の意図や技術だけではなく」と述べているため不十分。不正解2は、「石そのものの物理的な性質は何も変わっていない」という本文の記述と矛盾する。不正解3は、文脈の一例ではあるが、鑑賞者の能動的な行為という最も重要な点が欠けているため不適切である。