JLPT N2 - MOCK1 READING
「その知識(ちしき)、何(なん)の役(やく)に立(た)つの?」私(わたし)たちは、特(とく)にキャリアや将来(しょうらい)を考(かんが)える場面(ばめん)で、このような問(と)いに直面(ちょくめん)することがあります。社会(しゃかい)では、直接的(ちょくせつてき)に仕事(しごと)や収入(しゅうにゅう)に結(むす)びつく「実用的(じつようてき)な」知識(ちしき)やスキルが重視(じゅうし)される傾向(けいこう)が強(つよ)く、それ以外(いがい)の、一見(いっけん)すると「役(やく)に立(た)たない」知識(ちしき)や趣味(しゅみ)は、時間(じかん)の無駄(むだ)だと見(み)なされがちです。しかし、本当(ほんとう)にそうでしょうか。 私(わたし)は、この「役(やく)に立(た)たない」知識(ちしき)にこそ、人間(にんげん)を豊(ゆた)かにする大(おお)きな価値(かち)が潜(ひそ)んでいると考(かんが)えています。例(たと)えば、古代(こだい)ギリシャの哲学(てつがく)や、特定(とくてい)の昆虫(こんちゅう)の生態(せいたい)、あるいは非常(ひじょう)に複雑(ふくざつ)なボードゲームの戦略(せんりゃく)など、直接的(ちょくせつてき)な実用性(じつようせい)が見(み)えにくい分野(ぶんや)について考(かんが)えてみましょう。これらの探求(たんきゅう)は、すぐに金銭的(きんせんてき)な利益(りえき)を生(う)むことはないかもしれません。しかし、物事(ものごと)を多角的(たかくてき)に見(み)る視点(してん)、論理的(ろんりてき)な思考力(しこうりょく)、そして未知(みち)の事柄(ことがら)に対(たい)する好奇心(こうきしん)を育(そだ)ててくれます。異(こと)なる分野(ぶんや)の知識(ちしき)が頭(あたま)の中(なか)で結(むす)びついたとき、誰(だれ)も思(おも)いつかなかったような新(あたら)しいアイデアが生(う)まれることがあります。スティーブ・ジョブズが大学(だいがく)で学(まな)んだカリグラフィー(西洋(せいよう)書道(しょどう))の知識(ちしき)を、後(のち)にマッキントッシュの美(うつく)しいフォント開発(かいはつ)に活(い)かした話(はなし)は有名(ゆうめい)です。 効率(こうりつ)や実用性(じつようせい)ばかりが追求(ついきゅう)される現代(げんだい)社会(しゃかい)において、私(わたし)たちはつい近視眼(きんしがん)的(てき)になりがちです。しかし、人生(じんせい)という長(なが)い旅路(たびじ)においては、直接(ちょくせつ)目的地(もくてきち)に向(む)かう最短(さいたん)ルートだけが正(ただ)しい道(みち)ではありません。道端(みちばた)に咲(さ)く花(はな)に気(き)づいたり、遠回(とおまわ)りして美(うつく)しい景色(けしき)に出会(であ)ったりすることも、旅(たび)の醍醐味(だいごみ)です。一見(いっけん)「役(やく)に立(た)たない」知識(ちしき)への投資(とうし)は、私(わたし)たちの内面(ないめん)的(てき)な世界(せかい)を広(ひろ)げ、思考(しこう)を深(ふか)めるための、いわば「精神(せいしん)の遠回(とおまわ)り」なのです。そして、その遠回(とおまわ)りこそが、予期(よき)せぬ形(かたち)で私(わたし)たちの未来(みらい)を、そして人生(じんせい)そのものを豊(ゆた)かにしてくれるのではないでしょうか。

筆者(ひっしゃ)は「役(やく)に立(た)たない」知識(ちしき)についてどのように考(かんが)えているか。

💡 Detailed Explanation

The correct answer is 'Even if it has no immediate practical value, it is important for deepening one's thinking and enriching one's life in the long run.' The author states that 'within this 'useless' knowledge lies great value that enriches us as human beings,' and describes it as a 'mental detour.' This emphasizes its value from a long-term perspective in terms of deepening thought and enriching life, rather than short-term practicality. The other options are incorrect for the following reasons: - 'It is a waste of time, so one should prioritize learning practical knowledge.': This is the 'common societal view' that the author refutes at the beginning of the passage; it is the opposite of the author's argument. - 'Since it can lead to new ideas, it should ultimately be studied for the purpose of financial gain.': The author states that it 'may not yield immediate financial benefits' and highlights inner enrichment and deeper thinking as its value, rather than financial gain. The purpose is different. - 'Like calligraphy, it only has the potential to lead to great success in specific fields.': Calligraphy is just one example. The author also mentions philosophy and insect ecology to argue for the value of 'useless' knowledge in a more general sense.