JLPT N1 - MOCK2 READING
Aの文章: 近年、人工知能(AI)が絵画や音楽といった創造的な領域に進出していることについて、議論が活発化している。一部では、AIは人間の芸術家を脅かす存在だと見なされているが、私はむしろ、AIを人間の創造性を拡張する強力なツールとして捉えるべきだと考える。AIは、膨大なデータを学習し、人間では思いもよらないような新しいスタイルやパターンを生成することができる。これは、芸術家にとって新たなインスピレーションの源泉となり得る。また、複雑で時間のかかる作業をAIに任せることで、人間はコンセプトの創出や最終的な仕上げといった、より本質的な創造活動に集中できる。AIと人間が協働することで、これまで想像もできなかったような芸術が生まれる可能性を秘めているのだ。AIはあくまで道具であり、その道具をどう使いこなすかが人間の創造性の見せ所なのである。 Bの文章: AIによる芸術作品が次々と生み出される現状は、我々に「創造性とは何か」という根源的な問いを突きつけている。AIが生成した作品は、技術的には高度であっても、そこに人間の経験や感情、哲学といった「魂」が宿っているのだろうか。多くのAIアートは、既存の膨大な作品データを再構成したものであり、そのオリジナリティ、すなわち「真正性」には疑問符が付く。もし、誰でも容易に質の高い作品を生成できる時代が来れば、長年の修練を経て独自の表現を追求してきた人間の芸術家の価値は相対的に低下しかねない。さらに、特定のAIモデルが広く使われるようになれば、芸術表現の均質化が進む恐れもある。技術の進歩を無条件に歓迎するのではなく、それが人間の創造性や文化に与える負の側面についても、我々は慎重に考察する必要がある。

AとBの文章を読んで、AIと人間の創造性に関する両者の見解について、最も適切な記述はどれか。

💡 詳細解説

Aの文章は、AIを「人間の創造性を拡張する強力なツール」と位置づけ、協働による新たな可能性を肯定的に論じている。一方、Bの文章は、AIが生成するコンテンツの「真正性」や「独自性」に疑問を呈し、人間の芸術家が持つ価値が損なわれる危険性、すなわち脅威について警鐘を鳴らしている。両者ともAIの影響を認識している点は共通しているが、その評価が「可能性」と「脅威」で対照的である。したがって、正解の選択肢が最も的確に両者の論点をまとめている。